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痔と漢方
痔疾患の3兄弟!
痔の3兄弟といえば、いぼ痔(痔核)、切れ痔(裂肛)、痔瘻(じろう)です。
痔は直腸と肛門にできる疾患です。私達の肛門は最初から通じているのではありません、母の胎内で育つにつれて、直腸が下がると同時に皮膚が潜り込み肛門ができます。
直腸と肛門がドッキングした部位は歯が噛み合ったような形をしているところから歯状線(粘膜皮膚接合部)といわれます。
歯状線の外側が肛門(皮膚)で痛みを自覚する部位です。歯状線の内側は直腸で自律神経ですので痛みを感じない部位です。
いぼ痔(痔核)
痔の3兄弟の兄貴分はいぼ痔です。いぼ痔は歯状線の内側の直腸にできる内痔核(1)(2)と歯状線の外側の肛門にできる外痔核(3)に分類されます。
内痔核はできていても痛みなどの症状がありません、排便時や排便後の真っ赤な出血と痔核が飛び出して気がつくことがほとんどです。
出血はポタポタや時にはシャーと便器が血に染まってしまう出血もあります。出血があったときは鮮血か赤黒い出血か粘液便が混じっていないか確認して下さい。
■いぼ痔(内痔核)は4段階に分類されます。
第1度:初期の内痔核(1)でまだ痔核の脱出はなく、痛みの症状もありません。排便時に出血を伴うことが多いです。この段階でうっ血を取る、大便の調節をすると早く良くなります。
第2度:痔核(2)が大きくなり、排便とともに痔核の脱出がありますが、まだ自然に肛門内にもどる時期です。出血があり、痛みも出てくる時期です。漢方の塗り薬「紫雲膏」はちょっと臭いと色がありますが長期の使用もでき痛みも楽になり脱肛も中に入りやすくなります。
第3度:脱肛がひどくなり、指で押し込まないと元に戻らなくなります。
第4度:脱肛は指で押し込んでもすぐに脱出してしまう。中には激しい痛みを伴うものもあります。手術を考えなければならない時期です。
■いぼ痔(外痔核)
外痔核に血栓や血腫ができると激しい痛みを伴います。
長期の外痔核は皮膚が硬くなり完全な基の皮膚にはもどりにくくなってしまいます。
※補血剤、駆瘀血剤、清熱解毒剤などを併用します。
切れ痔(裂肛)
切れ痔は堅い便が肛門を傷つけたり、下痢が続き肛門が切れてできた外傷(切り傷)です。
肛門に切り傷がができると排便の時痛むため、排便を我慢してしまい便はますます固くなって切れ痔を悪化させてしまいます。
切れ痔の初期は排便時の痛みで済みますが切り傷が深くなってしまうと排便後も激しい痛みが2~3時間も続きます。
裂肛が慢性化すると、周囲の皮膚がいぼ状に隆起(皮膚突起)したり、肛門ポリープ(肥大乳頭)が形成されてしまいます。
切れ痔は出血は少なく拭いた紙に付着する程度です。
※裂肛の主な原因は便秘と下痢です、脾胃(消化器)をととのえるとともに冷え、血流の改善が必要です。
痔瘻(じろう)
痔瘻は痔の3兄弟の中でも異端児と言えます。痔瘻は大腸菌などの細菌感染が原因です。
歯状線付近には、多数の肛門線が開口し、大便(特に軟便、下痢便)が入りやすく細菌感染を起こします。
肛門線の急性の化膿性炎症を肛門周囲膿瘍(1)といい、肛門線に沿って外側のさまざまなところに膿がたまり、痛みが伴い、切開すると大量の排膿が見られます。
一時的に治癒することは少なく、最終的には肛門周囲の皮膚に瘻管(2)ができ膿が出るようになる、これが痔瘻です。
※主な原因は、ストレスやアルコール摂取による下痢があげられます、そのため男性が圧倒的に多いです。
風寒湿、清熱解毒、祛痰排膿剤を5日位を目安に、期待できます。
痔と漢方
いぼ痔、切れ痔は女性の方に多い痔です。主な原因は便秘と生理の関係で血流不足と血分の不足です。そして、デスクワーク、立ち仕事などによる下腹部のうっ血が影響します、予防として歩くことにより下半身の血流が良くなります。
痔の漢方薬というと代表的な乙字湯(おつじとう)があります。乙字湯の単方は初期症状です、血虚、瘀血、気虚などが絡んでいることが多いですから、補血薬、駆瘀血薬、補気薬の合方が必要になります。
乙字湯など大黄製剤で下痢、腹痛が顕著に表れる方は大黄製剤の不適合です、裏寒(内臓機能低下で臓腑に冷えがある)などが考えられます。内臓機能を暖めることにより機能改善をはかります。
当店からのお願い
適切な漢方療法のためには、初めての方は必ずご本人が直接お越し下さい。
不妊相談の方は基礎体温表や不妊治療での血液検査記録をお持ちの方はご持参ください。